佐藤多佳子『サマータイム』はピアノをめぐる短編集
事故で片腕を亡くし、同時に父親を亡くした少年、広一を中心にした連作短編集です。
特別何か起こるような話ではないのですが、何気ない日常から感情が変化していく感じが美しかったです。誰かが悪いわけでもないけれど、わだかまりがなくならない主人公たち。それがあるきっかけでわだかまりが消えたり、やっぱり消えなかったり……そういう揺れ動く心がとても美しかったです。
実際にこういうひねくれた反応してしまうときあるよねとか、意固地になって認められないときあるよねとか、共感できる弱さや駄目さがあって、そういうものを持つキャラクターだからこそ応援したくなります。彼らの心が少し救われたとき、私自身も少し救われた気がするんですよね。大げさかもしれないですが。
書かれているのはあくまで日常で、とても地味な物語ではあるんですが、美しくてはかなくて、共感できる話でした。機会があったらまた読み返して、登場人物に会いに行きたくなります。
ありがとう寄稿。
最終回は警察に捕まるのですが、未成年は怖いもの知らずで世の中の怖さを全然知らない純粋な思いで生きてるんだなと感じました。
未成年/最終回・結末の感想ネタバレ注意!あらすじ・いしだ壱成くんの演技が良かった、警察に捕まるのですが…。 #テレビドラマ - 面白い漫画を教えてください。