「君に届け」16巻 椎名軽穂・著
龍から告白された千鶴が、それ以来やけにボーっとしたり挙動不審になったりして、女の子らしい一面が全開になっていて微笑ましかったです。いつも足を広げて座ったり男の子みたいな口調でしゃべったりするだけに、明らかに緊張している様子は意外に見えました。
そして、アプローチしてくるケントの優しさに戸惑って警戒しまくるあやねが、見ていてつらいほどでした。軽い女に見られがちで、これまでずいぶんと嫌な思いもしてきて、たくさん傷ついてきたのでしょう。「爽子もちづも私の憧れ」というセリフは、心の内を明かさないあやねがフッと見せた本心なのだと感じました。
また、相手を想うあまりに、手に負えない気持ちを持て余す爽子と風早くんのすれ違いにヤキモキさせられました。陰気で根暗な貞子のレッテルを張られた爽子と、どこまでも爽やかでいい人というイメージの定着している風早くん。お互いそうは思っていないのに、うまく言葉にできない気持ちを伝えるのは本当に難しいものですね。