」で便利でお安く。生の喜び。かぐや姫の物語を見て
先ず言えるのはこの映画は命の物語だと言う事です。人が産まれ、生の喜び、成長の喜び、人生の不条理、死の悲しみ。その全てが美しい水彩画の中で生き生きと描かれ、見る人を魅了します。
私は、映画を見ている時は泣きませんでした。けれどエンディングのテロップと音楽を聞いている時に涙が溢れだししばらくはとまりませんでした。始めは何故自分が泣いているのか分かりませんでした。
けれど涙の理由を突き詰めていくとその理由は明らかでした。映画の場面場面に描かれているのは自分が産まれ愛され生きてきたと言う事を教えてくれた。自然が虫や動物全ての生き物は生の輝きに満ちている。けれど、人間の業はとまることを知らず、人間は人間の輝きを失っていく。けれど根本にあるのは愛なのだということ。もちろん、感じかたは人それぞれで私の周りには、ただのかぐや姫の物語を見ただけ、何も感じないと言う人もいます。けれど、私はこれほどまでにシンプルにこれほどまでに力量のある映画をみたことがありません。高畑監督の心の叙情の深さを知りもっとしりたくなり、また、声優の地井武男さんの愛情ある表現力に涙がとまりません。
地井武男さんの最後の作品としても、とても感慨深い作品に私は出会えたと思っています。
