「そして誰もいなくなった」(後編)3月26日放送
アガサクリスティの本格推理小説を日本で初めてドラマ化したものです。私は昔原作を読んでいたので、実はそれほど気合を入れて見ていたわけではありません。
ところが、途中から、というか終わりごろになるにつれ、だんだんと引きこまれていきました。
渡瀬恒彦の演技がすごいのです。
初めのうちは今ひとつ元気がないような印象で、ああ、やはり病気がだいぶ悪くなっていたのだろうな、ぐらいに思っていました。
しかし、犯行を告白するときの、鬼気迫る演技がものすごい。
渡瀬恒彦といえば、これまでは「良い人」「良いおとうさん」的な役柄が多かったと思います。
それが一転して、狂気をはらんだ犯罪者を演じているのです。
ラストの、アップされた、あの目を見てください。
いやあ、最後の最後に良い役をもらったものだと思いました。役者冥利につきるんじゃないでしょうか。