四畳半神話大系(森見登美彦)、久しぶりに小説読んで爆笑しました!
森見登美彦さんの独特な語り口調がとても面白く、本当に何処を読んでも笑ってしまいました!登場人物も皆ユニークで酷い性格で、だけど何故か憎めない、素敵なキャラクターばかりでした。読んでいくうちに、どんどんキャラクターに感情移入していき、物語が終わってしまうのが寂しくて仕方ありませんでした。
主人公「私」とその腐れ縁の友達(?)の小津とが繰り広げる、理想の薔薇色とは程遠いキャンパスライフが凄く魅力的で、とても憧れてしまいました(笑)。当の本人は不毛だ、無意義だ、こんなはずではなかったと散々に言っていました。ですが、読者の私からすれば二人の日常は、非常に楽しそうでした。青春は過ぎた頃にその素晴らしさが分かるなどとよく言いますが、本当にそるなんだなぁと思いました。学校でイチャつくカップルの恋の邪魔をしたり、新入生歓迎コンパの会場でロケット花火をあげようとしり・・・。楽しそうだけど、実際やろうとはとてもじゃないけど思えません(笑)そう思うと、二人は人間としては全くだめだめですが結構勇気というか、実行力があったりしますよね。そういった所も、素敵だなぁと思ってしまいます。
こんなギャグ満載の小説ですが、しっかりと読んでみると、かなりの名言が散らばめられていたりします。私が好きな名言は、主人公と小津の師匠である樋口師匠の、「可能性という言葉を無限定に使ってはいけない。我々という存在を規定するのは、我々がもつ可能性ではなく、我々がもつ不可能性である。」という言葉です。人生観が変わってしまう位の影響を受けました。今まで想像してきた「私の可能性」がどれほど無意味であるかを思い知らされました。何だか気が楽になり、前向きになることができました。一見マイナスな事を言っているように見えますが、これは過去に囚われている「私」を救うための言葉だったのだと、私は思います。あの時ああしてれば、などといった過去の自分の、当てのない可能性に夢を見るよりも、今の「自分の不可能性」からできた自分を受け入れて、今を生きた方がよっぽどいい。私は、樋口師匠の言葉からこんなメッセージを読み取りました。読み手それぞれの解釈ができる不思議な言葉の数々も、森見登美彦さんの描く物語の魅力です。
笑えてタメになる、本当にオススメの本なので、みなさん是非読んでみてください!