なんだったんだ、何がしたかったんだアンタ。
昨日のことだ。電話が鳴った。画面を見ると知らない番号だった。
会社で、申し送りの最中だったので上司に謝り倒しながら電話に出た。
「はい、もしもし」
「私○○と…ますが××の携帯で…」
電波状況か。よく聞き取れず、聞き返すとすいません間違い電話かも、などと言い出した。
それがどうも聞き覚えのある声で、不吉な予感がして、私は切らずに聞き返し続けた。
イノマタ(仮)ですが。
あぁ。合点がいった。
SNS上で知り合った、2度会っただけの人だ。
何がお気に召さなかったのか、ある時日記で罵詈雑言をはかれ着信拒否されたきりだった人だ。
「イノマタ?」
「ええ」
「イノマタ、サトコさん?」
記憶の片隅にあったフルネームを引っ張り出した。言い終わるか終わらないかのうちに切られた。
かけ直してもかけ直しても『発信が中断されました』、つまり、着信拒否。
せっかく忘れていたのに。